今回は、リクエストが有りましたので、「更新拒絶」と「解約申入れ」についてお伝えしたいと思います。こちらのテーマは以前にも取り上げておりましたが、更に今回はわかりやすく説明してみたいと思います。
なお、「更新拒絶」とは、もう更新しないですよ、という意味で、契約の解除と合わせて借主さんに退去してもらう手続きになります。
法律は借主さんの保護があつい
現在の法律、特に建物の賃貸借契約に適用されるのが「借地借家法」となります。この法律は、基本的に借主さんを保護するための法律です。これは、『住居を失うということは国民にとって一大事だ!』ということで制定されたからなのです。
更新拒絶・契約の解除には「正当事由」が必要
その「借地借家法」では、更新拒絶や、契約の解除をオーナー様からする場合には「正当事由」が必要と定めています。つまり、単に「出ていってね」というだけでは、借主さんに退去してもらうことはできないのです。しかも、この「正当事由」がかなり厳しいのが現実なんです。
正当事由って?
正当事由を誤解を恐れずにいえば、「退去をお願いしても、仕方ないよね」と言えるだけの理由、という意味になります。以下は、よくあるオーナー様からのご相談です。
建物の老朽化
「建物が古くて・・・・」という場合。これが理由となるのは「倒壊の危険性がある場合」や「行政から危険建築物として指導されている」といったレベルのものになります。したがって、まだ使おうと思えば使える程度の場合には「老朽化」は正当事由として認められにくいのです。
家族が使う
「家族が使うんですよ」という場合。こちらの理由も、単に「オーナー様の家族が使うから」ということだけでは正当事由としては難しいところです。この場合には、貸主さんと借主さんとの間での経済的な余裕等も考慮されます。
引越し費用・立ち退き料
「正当事由」には立ち退き料や、引越し料の負担が考慮されます。「ここまで出すのだから、退去しても困らないよね」と言えれば、正当事由が認められやすくなります。
いかがでしたでしょうか。借主さんに退去していただくのは結構難しいものなんですね。また退去をお願いするのは少なくとも半年前に通知しなければならないこともお忘れなく。
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前回に引き続き、外国の方を受け入れる際のポイントについてお伝えいたします。
接し方~『ゆっくり』、『かんたん』な表現で~
日本で賃貸を希望する外国の方は、多くの場合、日本語をある程度話すことができます。ただし、その場合でも、なるべく簡単な日本語で、ゆっくりと話してあげるとより相手に伝わりやすいです。
事前確認
海外の方の場合は身元確認のための書類が日本の方とは異なります。また、在留資格が契約期間中継続するかも確認が必要です。
さらに、海外では友人などと一緒に住んだり、同居者が頻繁に入れ替わることが普通の場合もあります。そのため、入居者の確認も必要です。その他、携帯電話や、口座等確認する必要があります。
契約内容について
契約書は、日本語のものを使用しても大丈夫ですが、内容を十分に説明することが必要です。
賃貸契約においてほとんど必須となっている連帯保証人(今後はなくなるかもしれませんが…)は、海外では、家賃を支払えない場合にはすぐに退去を求めることができる場合もあり、それほど一般的な制度ではありません。
そのため、連帯保証人の必要性を説明する必要があります。殆どの場合には保証会社に入ってもらうことになりますので、保証会社の保証内容や、外国の方の受け入れができる保証会社の確保が必要です。
押印について
日本では、署名+押印が一般的ですが、海外の方についてはサイン(署名)だけでも契約を成立させることができます(ただし押印まで必要とする会社もあります)。
入居中のトラブル
入居中にトラブルになりやすいのは、『ゴミ出し』についてと、『生活騒音』の問題です。こちらは、いかに「事前説明をしっかりとするか」にかかっています。
『ゴミ出し』は、地域のゴミ出しルールのパンフレットを用意し、いつでも入居者が確認できるようにしてあげることが大切です。
『生活騒音』については、大勢でパーティをしたり、大きな声で話したり、楽器の演奏をすることが当たり前の国もあります。そのため、日本の集合住宅ではそれらの行為が禁止されていることをしっかりと伝えることが必要です。
終わりに
上記以外にも気をつける点はありますが、海外の方を受け入れる際のポイントをお話しいたしました。基本的にはきちんと事前説明をすることが大切ということで、日本人と
変わらないですね。今回のご説明でオーナー様の不安が解消されれば幸いです。