固定資産税等の精算について
固定資産税・都市計画税とは

固定資産税とは、土地、家屋、償却資産(「固定資産」)を所有している方が、その固定資産の所在する市町村に納める税金を言います。その負担はその固定資産の価値に応じて決定されます。
都市計画税とは、都市計画税は都市計画事業(道路・公園・下水道などの都市施設の整備)や土地区画整理事業等に要する費用に充てるための税金を言います。都市計画区域のうち条例で定められた区域内に土地・家屋を所有している方が負担するものです。
売買の際に必要な「精算」

固定資産税・都市計画税(以下「都市計画税等」)は、毎年1月1日時点での所有者がその税金を納める義務を負っています。そのため、通常不動産売買では売主様が売却した年の固定資産税等を納税することになります。
ただ、固定資産税等は、本来その不動産の「所有者」が負担すべきものであるため、その年の途中で所有者が変わった場合には、その所有日数によって売主様と買主様とで分担することが「公平」となります。そこで、不動産売買では、売却額とは別に「固定資産税等の精算」を行い、固定資産税等の負担が売主様・買主様に公平になるように調整しているのです。
なお、この精算手続きは法律定められているものではなく、不動産取引における慣習として売買契約において定められるものです。したがって、当事者の合意によってはこの精算手続きについて別の方法を取ることも可能です。
売買の際に必要な「精算」

計算例
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都市計画税:36,500円
固定資産税:36,500円
取引日:6月30日
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売主様・買主様の各所有日数
売主様所有日数:180日分 (期間:2021年1月1日〜2021年6月29日)
買主様所有日数:185日分(期間:2021年6月30日〜2021年12月31日)
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固定資産税等計算
売主様:73,000円 × 180日 ÷365日 = 36,000円
買主様:73,000円 × 185日 ÷ 365日 = 37,000円
よって、買主様が負担分たる37,000円を売主様に支払うことにより、固定資産税等の公平な分担が実現します。
精算のタイミング

通常は、決済(代金の全額支払い)のタイミングで行います。その時点で、所有権が移転するため、売主様・買主様の所有期間が確定するからです。
ただし、固定資産税の納税額は毎年5月頃にならないとお手元に届きません。そのため、1月1日~5月までの間に決済をした場合には、納税通知書が届いてからの精算となります。
固定資産税等の精算の注意点

●固定資産税等清算金は「税金」ではない
上記の通り固定資産税当清算金はあくまで固定資産税等の売主様・買主様の公平を図るための調整金であり「税金」ではありません。
●消費税の対象となりうる(以下は国税庁のHPより抜粋)
『不動産売買の際に、売買当事者の合意に基づき固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が分担する場合の当該分担金は、地方公共団体に対して納付すべき固定資産税そのものではなく、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するもの(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭)として課税の対象となります(基通10-1-6)。』(【関係法令通達】 消費税法第2条第1項第8号、第28条第1項、消費税法基本通達10-1-6)
●固定資産税の納税通知書は大切な書類
固定資産税等の精算にには、固定資産税等の納税通知書が必要となります。固定資産税等の納税通知書は不動産取引における重要な書類となりますので、大切に保管をお願いいたします。